作家 戸板康二さんの ちょっといい話
酒場の隅で、 きざな客が、昔の話をしていたが、 「大正八年」 とか 「昭和三年」 とかいえばいいのに、 「西暦でいうと、何年」 と表現している。 気障(きざ)でたまらないと思って、しかめ面をしていた、ほかの客が、とうとう、どなった。 「うるせえな、セイレキ富五郎」 その話を昔内田誠さんから聞いたので、こんな話を作った。 酒場の隅で、きざな客が、イタリア

のミラノのスカラ座で見て来たオペラの話をして聞かせている。 「ええと、見たのは、椿姫、それからカヴァレリア・ルスチカーナと道化師、トスカ、トスカの次は何だったかな」 しかめ面をしていた、ほかの客が、どなった。 「トスカの次は、大船にきまってるじゃないか」

nou12d.jpg
彫刻家ヴィーゲランの作品

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。

スポンサーサイト





作家 戸板康二さんの ちょっといい話
渋谷の東横ホールで、 三代目市川左団次と七代目中村芝翫(当時福助)の二人で、チェホフの 「犬」 を出し物にした。 久保田万太郎さんがいった。 「渋谷で犬なんていうと、ハチ公の芝居だと思やしないかな」 同じ東横の劇場で、劇団民芸が木下順二さんの 「冬の時代」 を上演していた。 ビルの壁に 「冬の時代」 という垂れ幕が下った。  荒畑寒

村さんがそれを見て、ふと目をわきのほうに遣ると、「冬物大売り出し」 この垂れ幕を、俗にフンドシというのだが、日経ホールで、劇団雲が小島信夫さんの 「一寸さきは闇」 という脚本を上演していた時にみにゆくと、フンドシに、 「一寸さきは闇・雲」   ・・・この微妙な表現よく読みとってね ノブヤス

 gam11d.jpg
オスロ市庁舎前の、のどかな光景

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






作家 戸板康二さんの ちょっといい話
明治製菓のPR誌 「スヰート」 に、毎号、池部鈞(きん)さんが、広告の漫画を一ページずつ、書いていた。 絵ができると、詰襟の制服を着た大学生が届けに来る。 受けとる女の子は、あんまり愛想のいい顔もせずに、応対していた。 しかし、ある月から、その女の子が、ソワソワしだした。 使いに来ていた学生が、映画に出演したからである。 漫画家の長男の池部良さんだった。

suto37d.jpg
ノルウェー入港近い小島。

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






作家 戸板康二さんの ちょっといい話
山本有三さんが率先して、漢字制限を実行した。  筆名自体に、使えない文字を持つ日夏耿之介さんが憤慨していった。  「われらの国語を、路傍の石のごとく動かすのはやめろ」

nou5d.jpg
ノルウェー入港時の朝

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






作家 戸板康二さんの ちょっといい話
作家によって、独特の用字法があるのを、知っておいたほうがいい。 夏目漱石は、サンマのことを、秋刀魚とは書かず、三馬と書いた。 「浮世床」 を愛読したためかも知れない。  泉鏡花は、豆腐の 「腐」 がいやなので、 「豆府」 と書い

た。 この作家は、煙草は、もっぱらキザミだった。  久保田万太郎は、 「泉先生の豆府の府の字は、水府(愛用のきざみ煙草)の府から来ている」 といった。 斉藤茂吉は、絶対を、絶待と書いた。 森鴎外のひそみにならったのではあるまいか。 内田百のボイは、食堂やホテルのボーイのことだが、これは漱石流である。

nou4d.jpg
船の旋回によってできた波。きれいに湾曲している。めったにお目にかかれないと思う。

http://http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






作家 戸板康二さんの ちょっといい話
三好達治さんが、巌谷大四(注、文芸編集長)さんに語った。 「私の随筆集に『夜沈々(よるちんちん)』 というのがあります。 あれは家賃々々なんです。 もうひとつ 『風蕭々(かぜしょうしょう)』 というのがあります。 貸せ少々なんです」

nou2d.jpg
船の上からノルウェー出港風景を撮影したなかに、整理してビックリ。 偶然ですが 「フラム号博物館」 であることがわかりました。 この博物館には世界で初めて北極に行った船が展示してあります。

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






作家 戸板康二さんの ちょっといい話
池島信平(注、文芸春秋編集者後社長)さんが、佐藤春夫さんに、 「先生は少年時代、どっちかというと、不良のほうではありませんか」 といった。 いつものように、ニコリともせず、 「進歩的といって下さい」

nou7d.jpg
ノルウェー「アーケシュフース城」。オスロで現存する最も古い建物。歴代王族のお墓がある。

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。






今日から 「作家 戸板康二さんの ちょっといい話」 を再開します。

作家 戸板康二さんの ちょっといい話
志賀直哉さんは、年配の女友達を、 「ばある・ふれんど」 といった。 シャレをいわない人では、なかった。 「赤西蠣太」 の恋人が小江(さざえ)というのも、つまり、そういうウイットである。 佐々木茂索(注、文芸春秋編集長)さんが芝の城山町に越したと聞くと、こういったという。 「城山の西郷さんにならないように、気をつけて下さい」

nou3d.jpg
ノルウェー・オスロ港です。右後方の時計台の建物は市庁舎です。

http://homepage2.nifty.com/nobu_ishi/index.html

 ☚ おいでやす 左のマーク押してね。







| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 客船の旅, All rights reserved.